1.給湯器とは

斉藤燃料店(埼玉県入間市)へ設置のご依頼が多い住宅設備機器の一つが給湯器です。給湯器は自宅のキッチンや浴室でお湯を使いたいときに、水道水をお湯に変えて供給してくれる機器のことで、日常生活には必要不可欠です。いくつかのメーカーからさまざまな種類の給湯器が発売されていますので、その特徴や選び方を見ていきましょう。

給湯器の種類とメリット・デメリット

家庭用で主に使われる給湯器としては、

  • ガス給湯器
  • ハイブリッド給湯器
  • 石油給湯器
  • 電気給湯器
  • ヒートポンプ給湯器
  • 太陽熱温水器

などがあります。

ここでは特に、戸建て住宅・集合住宅共に多くの家庭で用いられている ガスを用いた給湯器について解説します。

ガス給湯器

一般家庭のガス給湯器は、使いたいときにガスを点火してお湯を沸かす「瞬間式」が用いられることが多いです。ガス給湯器にも電気と同様に「貯湯式」と呼ばれる、あらかじめ一定量のお湯を貯めておけるタイプもありますが、サイズが大きいこともあり、お湯を大量に利用することが多い美容院や飲食店など限られた施設での利用にとどまっています。

一般家庭で利用されることが多い瞬間式ガス給湯器は、次に利用者が多い電気給湯器(貯湯式)と比較して次のようなメリットがあります。

  • 同じ機能をつけるときの初期費用(機器費・工事費)が安い
  • 貯湯設備が不要なので、サイズがコンパクトで設置スペースが1/10ほど
  • 給湯能力が高く、複数の場所で同時に使える
  • 使う分だけを沸かすので燃料に無駄がない
  • シャワーの勢いが強い

一方でデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 電気給湯器と比較して寿命が短い
  • ランニングコストが割高

経済性については、初期費用とラニングコストの両面から考える必要があります。初期費用が抑えられるのはガス給湯器です。ランニングコストに関しては、電気給湯器は割安になる深夜の電力を使用するので、ガス給湯器よりも抑えられるケースが多いです。ただし、電気給湯器の場合も、タンクの容量によっては昼間に沸かすケースもあり、そうすると費用は上がります。お湯の使用量を調整して利用するのが、負担になる場合は、ガス給湯器の方が使いやすいでしょう。

ハイブリッド給湯器

ハイブリッド給湯器は電気給湯器とガス給湯器を組み合わせたもので、まだそれほど普及していない新しい製品です。スマートフォンと連携させたり、お湯の使用量を記憶して効率の良い貯湯をしたりするなど最新の機能が搭載されている製品が多く発売されています。

メリットとしては、優れた機能が搭載されているため便利な点や、使用状況に合わせて無駄のない給湯ができるため、ランニングコストが抑えられます。また、停電時やガス不通時にも、もう片方の設備で給湯ができるため、災害時にも安心です。

一方でデメリットとしては、設置する設備が電気・ガスの2種類になるため広い設置場所が必要な点と、初期設置費用が高いことが挙げられます。

今後、技術開発の進歩やより便利な給湯システムが求められてくると、普及率が高まっていくことが期待されています。

2.ガス給湯器を選ぶ際の注意点

ガス給湯器には、その機能や設置場所、号数などによってさまざまな種類があります。家庭に合った給湯器を選ぶ際に注意するべき点を解説します。

給湯器の機能

給湯器はその種類によって、できることが異なります。一番ベーシックなのはお湯を供給するのみですが、お風呂の自動お湯張りや追い炊き機能、また温水式の床暖房や浴室乾燥ができる給湯器もあります。

オートとフルオートの違い

浴槽への自動お湯張りや追い炊き機能の中でも、オートとフルオートで分かれています。

オートはスイッチ一つで設定した温度・湯量を供給し自動でストップします。その後は設定温度を守るように追い炊きや自動保温をしてくれます。しかし、ボタンを押して供給される湯量は固定なので思ったよりもお湯が少なかったり、残り湯がある場合にはお湯が溢れてしまったりする可能性もあります。

一方で、フルオートはオートの機能に加えて水位も設定できるため、お湯が足りなかったり、溢れてしまったりといった心配がありません。

温水式床暖房

ガス温水式床暖房では、暖房用の温水を床の下に設置した配管に流すことで熱を利用して部屋を暖める設備です。ヒーターやストーブのように燃料を部屋の中で燃やさないため、乾燥やにおいを気にする必要がなく、室温の上昇も他の床暖房設備に比べると早いです。

また、必要なときだけガスを燃焼し、スイッチオフ後も床は余熱がしばらく保たれるため、温かさを維持してくれます。

温水式床暖房を後から導入するのは大変なので、検討されている方は、家を建てるときにご相談するのがおすすめです。

給湯器の設置場所と騒音

給湯器は設置場所別にさまざまな種類が用意されていますので、一戸建てはもちろんですが制限のある賃貸や集合住宅であっても利用できます。ただし、自分で判断せずに専門業者に相談しながら決めましょう。

設置場所の種類

戸建て住宅の場合には、屋外壁掛けタイプか屋外据え置きタイプを選択することが多いです。屋外壁掛けタイプでは、地面への設置が必要ないためスペース効率に優れています。また、交換が必要な際にも作業をしやすいなどメリットがあります。

これらの点にメリットを感じれば屋外壁掛けタイプを選択されるといいでしょう。特にメリットを感じなければ、屋外据え置きタイプ、屋外壁掛けタイプの両方を選択肢に入れて、費用や機能など他の点を考慮して決めることをおすすめします。

マンションなど集合住宅の場合には設置場所が制限されます。戸建て住宅と同じような壁掛けタイプが選択されることもありますし、玄関ドアの横にあることが多いパイプスペース(PS)に設置されることもあります。基本的には、現在設置されているものと同様の設置タイプを選択いただくのがいいでしょう。

騒音にも注意

給湯器の設置場所を選択する場合には騒音に注意が必要です。集合住宅の場合には選択肢が限られているためどうしようもありませんが、一戸建ての場合にはできるかぎり寝室や隣の家から離れた場所をおすすめします。

ガス式給湯器の作動音はそれほど大きいわけではありませんが、音の気になり方は個人差が大きく、一度気になってしまうとずっと聞こえてくる場合もあります。基本的にはお湯を使うときに作動音が発生しますので、夜間に使用しなければ問題ないことが多いですが、気に留めておきましょう。

給湯器の号数

給湯器には号数というものがあります。これは1分間あたりにどれくらいのお湯を供給できるのかという給湯能力を表しています。例えば16号の場合では1分間に16L、24号の場合には1分間に24Lのお湯を供給可能です。

この供給量は、外気温やお湯の設定温度によっても影響しますので、特に寒い地域に住んでいる場合には、大きめの号数を選択します。

キッチンと浴室で同時にお湯を使いたい場合など、使用量に対してこの号数が小さいとお湯の量が制限されてしまうので注意しましょう。家族で暮らしていて同時に利用する可能性がある場合には、20号以上を利用するのがおすすめです。

ランニングコスト

ガス給湯器を使用する場合に気になるのがランニングコストですが、近年はエコジョーズなど、省エネ性の高い給湯器も出てきています。特にLPガスの場合は、都市ガスと比較して、使用量に対する料金が高くなりがちなので、こういった給湯器を選ぶといいでしょう。

エコジョーズとは

エコジョーズの特徴は、「高効率」「節約」「環境性」です。従来のガス給湯器では捨ててしまっていた排気による熱を再利用し、同じお湯の量を沸かすために使うガスの量が少なくなります。また、使用していないときの待機電力も削減されているので、電気代を節約できます。

ガスの使用量が減りますので、地球温暖化の一因と考えられている二酸化炭素の排出量が減少するため、環境にも良い効果があります。

本体価格が従来型に比べて高くなりますので初期費用は高額になります。しかし、ランニングコストの安さによって回収できる場合が多いので、これから新しく給湯器を設置する場合にはエコジョーズも選択肢の一つとして検討されるといいでしょう。

3.メーカー別の特徴

ガス給湯器の特徴を見てきましたが、ここからはメーカー別の特徴を確認します。基本的な性能や種類、耐用年数などは各社高い水準で実現しており、メーカー別でそれほど大きな差はありません。

より細かい機能や同じ性能の製品価格差、より利便性に優れた機能の有無が各社の特徴を分けるポイントです。

リンナイ(Rinnai)

ガス給湯器のシェア はリンナイとノーリツの2強であり、その割合は2社合わせて70%以上を占めています。

リンナイの特徴としては、徹底的にこだわりぬいたコスト削減です。一方で、今や多くの製造業が海外から部品調達しているのに対してすべての部品を国内で調達しており、その品質の高さには定評があります。

◆給湯専用タイプ:RUX-E2406W シリーズ

軽量コンパクトなエコジョーズ給湯専用機の壁掛けタイプ。エコジョーズの採用が困難だった集合住宅にも対応し、音声ナビでお湯の止め忘れも防止。

◆給湯+暖房+追い炊きタイプ:RVD-E2405AW2-1(A) シリーズ

暖房能力14.0kWと大能力。選べるEcoモードで快適性と省エネ性を兼ね備え、停電モード対応にも対応しています。別売りの停電対応ユニットを車に接続すれば給湯の使用も可能。

ノーリツ(NORITZ)

リンナイと激しくトップ争いをしているのがノーリツです。こちらも品質にはこだわりがあり、「いじわるチェック」という過酷な状況での試験を通して製品品質を高めています。

また、ノーリツは積極的にきめ細やかで利便性の高い機能を業界の中でも先駆けて導入していくことが知られています。設定温度に近づくと追い炊きを穏やかにするマイルド追い炊きや、保温間隔・たし湯などの各種設定がより細やかに行えます。

新しい機能を試したい人は、ノーリツの給湯器を選択するのがおすすめです。

◆給湯専用タイプ:GT-C 2462シリーズ プレミアム 

プレミアム製品で快適な給湯を実現する多彩な機能を搭載。細かな湯量・温度設定に加えて、省電力モードなどなどエコ運転にも対応。

◆給湯+暖房+追い炊きタイプ:GQH 2445シリーズ 

省電力モードやターボ給湯の採用で、シーンに合わせた快適な給湯を実現。今までは難しかった30度台の低温度設定も可能に。

パロマ(Paloma)

1911年創業の老舗メーカーで、アメリカの大手給湯器メーカーを買収しているため、国内だけでなく世界的にも最大級の給湯器メーカーです。細かい部品は外部から購入する場合が多いのですが、パロマはすべて自社製造にこだわり製品品質を確保しています。

機能としては、不慮の事故を防ぐためのチャイルドロック機能や、浴室のリモコンで浴室に設置したテレビを操作できるなど特徴的なものもあります。

◆給湯専用タイプ:PH-E2404A シリーズ

面センサー採用による壁面火災防止装置を搭載し、お湯を出し始めるときの温度差を最小限に抑えたQ機能も搭載したエコジョーズ給湯器。

◆給湯+暖房+追い炊きタイプ:DH-GE2415APZL 

低温設定や水量サーボ機能などの利便機能に比べて、環境にも配慮した低騒音低NOx混能を搭載した多機能な給湯暖房熱源機。

4.設置工事について

給湯器の交換を検討し始めたら、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。各社のパンフレットを取り寄せたり、インターネットで比較検討したりするのもいいですが、テレビなどの家電製品とは異なり、住宅の状況によって設置可能なもの、不可能なものなどが存在します。専門家に相談すれば、住宅の状況を確認した上で、家庭での使い方などをもとに、適切な給湯器を提案してもらえるはずです。

給湯器が決まったら、工事費を含めた見積書を作成してもらいましょう。

中には、激安価格を売りにしている業者もありますが、そういった業者は、多くの台数を販売することが必要なため、細かな配慮に欠けていたり、工事日程の調整が行いにくかったりすることもあります。ガスは適切に取り扱わないと事故に繋がる可能性もありますので、親身に相談に乗ってくれる、安心して任せられる業者を選びたいですね。